生きるとはこんなに辛いのか。
「焔の眼」は一見すると途轍もなく強い主人公”クロ”が無敵の強さで敵をバタバタなぎ倒す作品、もしくはダークシリアスなストーリー展開の陰鬱とした作品、どちらかに感じるだろう。
しかし、私にとっての「焔の眼」はそんな作品ではない。
この作品は生きることの辛さと雑草のような強かさを描いた作品なのである。
目次
焔の眼を巻数ごとにちょっとだけネタバレ解説
焔の眼を巻数ごとに解説したいと思います。
昨日の「事情を知らない転校生がグイグイくる」に比べると巻数が多いので、少し長くなるかもしれませんがお付き合いください。
一巻。力を持たぬ誇り高き少女、鬼のような大男と出会う
日本はショルゴールという国との戦争で大敗を喫します。
これは世界大戦のようなもので、敗戦国も数多くありました。
ほとんどの国は無条件にショルゴールに降伏しますが、日本だけは集団自決という方法を以て、ショルゴールに一矢報いることに成功します。
それから、ショルゴールによる日本人への徹底的な排斥行為がはじまります。
男女関係なく行われ続ける暴力。
主人公(メインヒロイン?)の「沙羅」は日本人とショルゴール人のハーフであることから、双方の板挟みにあい、娼婦館で雑用をしながら、過酷な環境で生活していました。
頼りになるのは娼婦館の女将である「恭子」のみ。
ある日、ショルゴールの軍人に乱暴されそうになっていた沙羅を救ったのは、武道を極めた鬼のような大男「クロ」でした。
何にも左右されず、ただ己の力と信じる道を突き進むクロとの出会いが、沙羅の人生を大きく変えることになります。
この巻では物語の根幹となるようなエピソードも多いですが、これ以上は購入したうえで確認してみてください。
二巻。敵はショルゴールだけではない!
一巻では日本VSショルゴールという分かりやすい構図で描かれていた本作ですが、二巻では更に日本国内での争いも描かれます。
娼婦を汚いものであると見なす日本人と「沙羅」たちの戦いが多く描かれる巻になります。
相変わらずダークな世界観の本作ですが、二巻では新たな仲間の「千蔵」が登場します。
この千蔵こそが二巻のヒーローといっても過言ではありません。
「沙羅たち」と「恭子たち」はそれぞれ、全く違う場面で、ショルゴールという共通の敵と戦いを繰り広げます。
そして、絶対絶命の恭子たちを救ったのは、やはり、最強の日本人「クロ」でした。
日本人は絶対的な敵であるショルゴールがいるのにも関わらず、内輪でも差別をはじめ、日本はどうなってしまうのか。
ここでは紹介しませんが、最終版で最大のキーパーソンともいえる、ある人物も登場した二巻。
全容は購入して確かめてみてください。
三巻。怒涛の急展開!悲しみが押し寄せる。
三巻は、ある意味では最終巻である六巻以上に重要な巻であると言えるかもしれません。
ネタバレを避けるため、詳しくは書きませんが、これまでの一巻、二巻で重要な役割を果たしていた人物が二人、ストーリーから退場します。
サディスティックなお嬢様「エレノア」も登場し、怒涛の展開が続く三巻。
エレノアの家の使用人として働くことになった「沙羅」に、どんな災難が降りかかるのか。
また、アクション面でも、はじめて「クロ」を傷つけることのできる人間が登場します。
クロと彼との死闘はどのように終結するのか。
その才能の片鱗を既刊でも見せていた「沙羅」が、今までにないほどの覚醒を見せる三巻。
正直に言うと、この三巻がかなりの山場になりますので、一巻と二巻でそこまで興味の持てなかった方も、三巻までは購入してみることをオススメします。
四巻。ひたすらに無双するクロと何かが変わった沙羅
四巻でもダークな展開は続きますが、それよりも特徴的な部分があります。
それは全六巻の中でもアクション色の強い巻だということです。
冒頭でも少しだけお話ししましたが、この「焔の眼」という作品は基本的に「クロ」の無双の強さがなければ成立しません。
本来であればショルゴールに一瞬で滅ぼされるはずの日本ですが、それを食い止めているのは、何を隠そう、たった一人の日本人である「クロ」なのです。
「クロ」は日本を取り戻すため、自分の信じた道のために戦います。
また「沙羅」もクロとの関わりの中で、何かが変わり始めていきます。
戦わなければいけないという覚悟、いつだって、爛々と輝く沙羅の炎のような眼の奥にいたのは、恩人「クロ」でした。
今までのダークなストーリーはそのままに、スカッとする展開も多い四巻。
ここから「焔の眼」は更にギアをあげていきます。
着いてきてくださいね!
五巻。ダークな展開は少しお休み!王道展開へ!
五巻では、アクション漫画の王道ともいえる主人公とライバルの一騎打ちが熱いストーリーになっています。
「クロ」がはじめて認めた相手、それは三巻にも登場した彼です。
三巻の時点よりも明確な意思を持ってクロ打倒を目指し、神経を研ぎ澄ませた男。
男は主人を守るため、主人の言いつけを守るため、死なぬために繰り広げる死闘。
この戦いを通じて、クロははじめて武術の面で他人を認めました。
正直な話、この巻のほとんどがこの一騎打ちに割かれているので、ネタバレを避けるとこのぐらいしか解説することがありません。
ここからどうやって、最終六巻で綺麗に終わらせるのか。
最後まで目が離せませんね!
六巻。少女は伝説へ……恩人の意思を受け継いで。
来る最終巻になります。
ここまで長かったような、いやいや、もっと読んでいたいよ!と思わせるような、ハラハラドキドキの展開が続いてまいりましたが、何と言おうと、この巻で最後です!
「クロ」はただ一人、世界の覇権を握るショルゴールとの戦いに臨みます。
それはただ、武の神髄を見せつけるため、日本を取り返すため、己が強くあるため。
そして、一人の少女を守るため。
クロはその境地、神髄、全てを持って圧倒的な敵の攻撃に応えます。
さあ、たった一人の日本人VSショルゴールの戦いはどうなるのか。
時は移り、数年後。
そこには見目麗しい女性が率いるレジスタンスの姿がありました。
この女性は一体……?
感動&驚愕の最終巻。
是非購入して、感動を分かち合いましょう。
最後に
「焔の眼」いかがだったでしょうか。
興味を持たれた方は是非、ご購入を検討いただけると嬉しいです。